1.対象としている分野
化学プロセスの開発・合理化検討は、基礎研究から設計を経て生産に結びつきますが、検討段階により詳細度は変化して行きます。開発の初期段階では実施するプロセスのイメージは漠然としていて、頭の中で考えたことを簡単な実験で確認する程度であり費用もそれほどかかりません。しかしながら建設も終わり生産が始まる時期には、プラントは細部まで決められていて、不都合があった時に変更しようとすると莫大な費用がかかります。
このように、検討が進むに従って設計の自由度は低下し設計変更によるコストは増加して行きます。高い競争力を持つプロセスをトラブルなく具体化するためには、設計の自由度が高く、かつ費用も小さい段階(検討初期)で十分に代替案を検討することが必要になります。
初期設計あるいは基本設計のことをFEED(Front-End Engineering Design)と呼びます。PreFEEDという社名は、新規プロセスの開発であれ既存プラントの小改造であれ、設計前の検討が重要であることに由来しています。また会社ロゴは、設計の自由度と“設計変更”によるコストの変化を表したデザインです。
2.専門性の変化
プロセス検討に求められる専門性は、二つの観点から考えることが出来ます。
一つには技術導入か自社開発かということです。高度成長期には大型石油化学プラントの技術導入が主体であり、プロセス検討の大部分は生産段階におけるプラントの最適化・制御でした。その後1980年代から自社技術開発の増加により、ラボ実験・ベンチ実験・パイロットプラントを用いた開発検討が増え、現象の理解に基づいたプロセス設計が以前よりも強く求められるように変化しました。
二つにはプロセス検討のためのツールです。高度成長期には手計算・大型計算機によるプログラミングが主な検討ツールでしたが、1990年前後を境としてプロセスシミュレータが広範囲に普及しました。
これらの二つの点はエンジニアのスキルにも影響を及ぼしています。高度成長期はプラントの建設も多く、手計算主体であることから、エンジニアは実務で勉強する機会が多く、現象の本質を簡単なモデルで考察する訓練のおかげで多くのすぐれたエンジニアが輩出しました。
一方プロセスシミュレータが普及した1990年以降は、プラント建設が減少し実務での勉強の機会が減りました。さらにプロセスシミュレータの進展は、深い知識なしに詳細検討が出来る環境を提供し、若いエンジニアのブラックボックス的な使用を進め、「ジョブの経験=深い知識の獲得」とはなっていない傾向も見えています。
3.サービスの提供方法
PreFEEDのサービスは、次の三点を柱としています。
●人材育成:
プロセス開発と生産技術分野に携わる研究者と技術者に、実践的な化学工学教育を提供します。
●収益改善:
プロセス開発とプラント運転に関する技術的課題とマネージメント的課題に対し、コンサルティングを通して解決案を提供します。
●実務教育:
人材育成と収益改善の両方の利点を取り入れたサービスとして、実際の課題を用いて担当エンジニアを教育することを行っています。
これらの三種類のサービスの基本要素である化学工学トレーニングとプロセスコンサルティング(プロセス検討に関するコンサルティング)についての詳細は、各ページをご覧ください。