プロセスについて
フラスコスケールで始まる基礎研究は、パイロットプラントによる実証試験を経て、大型の製造プラントとして成果が具体化されます。
この間には様々なステップがありますが、コンピュータ技術の進展と共に、設計以降のステップはかなり効率的になってきました。
設計ステップを開始するには、プラントのフローシートと運転条件を決めること(実験データからのプロセス構築)が必要ですが、かなり属人的に行われているという問題点があります。
ラボデータの正しい解釈だけでなく、より競争力のあるプロセスにするために、開発技術者の果たす役割は重要です。
研究開発のステップ
スクリーニング
目標とする機能を持つ化合物を探し出す探索段階。
求められる機能の達成だけでなく、人体・環境への影響、防災面から総合的に判断されます。
ベンチ実験
目標とする化合物を効率的に合成・精製する処方を数百ミリリットルスケールで検討する段階。
工業化されたプラントをイメージしながら、合成の出発原料、反のルート、反応条件(温度、圧力、原料間のモル比、攪拌等々)を検討します。精製法についても蒸留、抽出、晶折、クロマト分離等の単位操作を工業的な実現可能性を考慮しながら予備的に検討します。
概念設計
パイロットプラントの段階で条件検討を重ねることのないよう事前検討を行なう段階。プラントの主要部分の概略設計を行い、ケーススタディを実施して、設計に大きく影響する因子が何であるかを知り、その単位操作のスケールアップ方法をどのように確立するかを決めた上でベンチ・パイロット実験条件に反映させます。
ベンチ・パイロット実験
概略設計の妥当性を確認するとともに、単位操作・装置機種・材質の観点から改善を検討する段階。攪拌・流動条件をはじめとした各種のスケールアップ検討はベンチ・パイロット段階に特有なものですが、現象のメカニズムを定量的に把握することで、より大きなスケール下での生産をスムーズに行なうことが可能になります。
サンプル製造
工業化される可能性の高い処方によりサンプルを製造し、需要家に評価してもらうことで品質規格を詳細に検討します。サンプル製造のスケールは目的に応じて、数百グラム(ラボスケール)、数キログラム(プラント)までさまざまですが、製造中に設計データを取ることで次のパイロット段階を短縮することが可能です。
設計・建設
基本設計
プラント建設が決定されると、建設プロジェクトとしての検討が始まります。概念設計上の結果に基づき、プラントの構成をP&ID(Piping & Instrumentation Diagram)とレイアウトに表し、経済性も考慮した上で各機器の機種、スペックを決定します。
詳細設計
各装置の肉厚・内部構造に関する設計、配管図、DCSおよびフィールド計装、電気系統、架構、タンクヤード等のオフサイト設備を決定します。
生産
建設・試製造
各種法令に準拠した上での建設工事後、試製造(スタートアップ)を行ないます。試製造では、品質・能力・原単位について設計との差異を検討するとともに、出来る限りデータを取り、他のプロジェクトに応用できるように実績設計データとして蓄積します。
生産・合理化
安定生産に移行した後は、SDM(Shut Down Maintenace)等のプラント保全を実施します。同時に増産・合理化のための技術検討を行い、必要なものは研究開発部門、設計部門との共同検討を行い、プラントを絶えずブラッシュアップさせていくことになります。
ベンチ実験から概念設計までの検討段階では、反応条件や単位操作には以下の視点から反応条件や単位操作を検討します。
- 実験データをどのように解釈すべきか?
- スケールアップ方法をどのように考えたら良いのか?
- どのような反応形式・単位操作を選定すべきか?
弊社では、技術的・マネジメント的な面からこれらの課題に対するソリューションを提供します。
得意分野
弊社コンサルタントは、国内外におけるプロセス産業および その関連産業で20年以上の実務経験を有しています。
得意分野と検討内容
単位操作・検討のタイプ | 検討実績 |
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反応操作 | 気泡塔による連続アルキル化反応 |
掻き取型反応器による連続固液付加反応 | |
竪型チューブによる連続2量化反応 | |
酸化剤滴下型バッチ反応 | |
バッチ高圧アミノ化反応 | |
バッチ還元アルキル化反応 | |
熱分解反応による有効成分回収 | |
固体天然物資源からの有用物抽出 | |
反応晶析操作 | 加水分解反応によるセミ連続晶析 |
反応蒸留操作 | 2量体の連続分解反応蒸留 |
蒸留・蒸発操作 | 多重効用缶型蒸発器 |
自己蒸気圧縮型蒸発器 | |
回転薄膜型蒸発器 | |
濡れ壁塔 | |
棚段塔蒸留塔(バッチ・連続) | |
不規則充填物蒸留塔(バッチ・連続) | |
規則充填物蒸留塔(バッチ・連続) | |
2液相を形成するバッチ単蒸留 | |
晶析・その他精製操作 | 2液相バッチ晶析 |
バッチ中和晶析 | |
連続蒸発晶析 | |
バッチメルト晶析(発汗晶析) | |
蒸発・冷却晶析 | |
クロマト分離 | |
ろ過操作 | バッチ式遠心分離機 |
加圧ろ過機 | |
フィルタープレス | |
デカンター | |
リーフフィルター | |
乾燥操作 | 溝型乾燥機 |
振動乾燥機 | |
流動層乾燥機 | |
スプレー乾燥機 | |
省エネルギー検討 | 工場全体の用役システム検討 |
石油精製・石油化学プラントの省エネルギー検討 | |
蒸留塔の省エネルギー検討 | |
研究開発の早期検討 | 文献データ解析とラボ実験立案 |
ベンチ設備の立案 | |
ベンチ結果の解析 | |
プロセスの概念設計 | |
検討したプロセス | 化成品 |
バッチ(医薬・農薬・染料の中間体) | |
石油化学 | |
無機化学 | |
石油精製 | |
食品製造プロセス |
研究開発を技術面とマネジメント面からサポートいたします。