対面型トレーニング 中級教育コース
中級教育範囲の項目については、以下の5分野22コースを提供しています。
使用するソフトウェアはExcel(ソルバー、統計解析)とEQUATRAN(オメガシミュレーション製方程式解法ソフト;講習中は無料貸出可能)となります。
第1分野:応用コース受講のための基礎
応用コースを受講するために必要な数値計算スキルと反応速度解析の基本を学びます。これらの中から、受講する応用コース内容に応じて、受講予定者のスキルに合わせて必要な項目を選択して講義します。
CM01:データ解析と化学工学計算 最適化・二点境界値問題・偏微分方程式(2日間)
化学プロセス検討では代数方程式や常微分方程式によるモデル化が重要であり、基本的な事項は基礎教育の範囲でカバーしている。本コースでは、実験データからのモデルパラメータ(代数方程式と常微分方程式)の決定、境界条件が離れた二点で指定されている微分方程式の解法、独立変数が二変数以上の微分方程式(偏微分方程式)の応用など、より詳細なプロセス解析のためのスキルを学ぶ。
なお、Excelのみでは非線形方程式の解法と非線形最適化が難しいために、応用コースではEQUATRAN(オメガシミュレーション製方程式解法ソフト)を用いる。
第1章 FIND文:最適化機能を利用したパラメータ回帰
1.1 Antoine定数の回帰
1.2 気液平衡パラメータの回帰
第2章 FUNCTION文:2点境界値問題
2.1 ユーザ関数その1:ファンクション型
2.2 ユーザ関数その2:サブルーチン型
第3章 CHANGE文:常微分方程式パラメータ回帰
3.1 基本的な使い方
3.2 反応速度定数決定への応用
3.3 その他の応用例
第4章 2次元配列の応用
4.1 偏微分方程式
4.2 2次元転置配列:多成分気液平衡計算
CM02:反応速度解析の基本(2日間)
反応工程は化学プロセスの根幹であり、プロセスの競争力を支配することが多い。反応器のスケールアップには、反応平衡、反応速度、熱収支、流動など様々な要因があるが、その中でも反応速度がスケールアップの重要事項となる場合が多い。本コースでは、反応速度の基本的な事項から始めて、より詳細な反応検討を行うための基礎的なスキルを学ぶ。
第1章 反応に関する基本事項
1.1 物質(原料、目的物、不純物)の性質
1.2 反応式、反応名、単位反応
1.3 石油化学、化成品、ファインケミカル
1.4 温度と滞留時間
1.5 反応熱
1.6 溶媒(極性、無極性)
1.7 反応相と触媒
1.8 腐食性
第2章 反応速度
2.1 反応速度式の基本
2.2 反応速度取り扱いの基本(解析解とExcel)
(1) 微分方程式の解析解と数値解
(2) 反応式から微分方程式を立てる方法
(3) 反応式と操作方法からの立式
(4) 反応速度定数の決定(解析解あり)
第3章 反応器
3.1 代表的反応器
3.2 反応装置解析の基礎要素
(1) ピストンフロー対完全混合流れ
(2) 実装置での問題点
(3) 要素モデルの組み合わせ
3.3 バッチ反応器と連続反応器の特性比較
(1) バッチ、PFR、CSTR各反応器の特徴
(2) バッチとCSTRの比較
(3) 滞留時間分布関数と反応成績への影響
(4) 逐次反応におけるバッチとCSTRの比較
4章 モデル化と解析のヒント
4.1 解析のためのアプローチ方法
4.2 反応速度式の近似法
(1)定常状態近似と律速段階近似
(2)反応の特性に応じた近似例
第2分野:単位操作
UO01:調湿計算とスプレー乾燥(1日間)
流動層乾燥、噴霧乾燥、気流乾燥は、熱風と原料湿潤粉体を直接接触させることで効率的な乾燥を行うことが出来る一方、熱風による製品品質の熱劣化が懸念される。従来の設計は湿度図表をもとに行われてきたが、100℃以上の熱風を用いる場合は装置表面からの放熱の影響が無視できず、製品温度を正確に計算することが難しかった。方程式解法ソフトを用いることで、熱収支計算に放熱やフィード原料の顕熱を考慮することが容易になり、製品品質を保つためのモデル化手法を学ぶ。
第1章 背景と技術概要
第2章 湿度計算
第3章 データ解析とモデル化
3.1 検討目的とデータ
3.2 水運転解析
3.3 実液運転解析
3.4 設計条件検討
第4章 まとめ
UO02:バッチと連続蒸発操作(1日間)
蒸発操作は蒸留塔のリボイラー、液化天然ガス(LNG)の気化、高沸点の製品を溶解した液からの溶媒の除去など様々な分野で用いられている。気液平衡が重要な場合(リボイラー)、大量の溶媒を短時間に除去する必要のある場合(ファインケミカル系)、エネルギー使用量を抑制したい場合など様々な目的があり装置的にもいくつかの方式が用いられている。本コースでは蒸発現象をバッチと連続の差に着目しながら、性能の差についてモデリングを行いながら考察する。
第1章 背景と技術概要
第2章 バッチ蒸発
2.1 バッチ単蒸留とRayleigh式
2.2 多成分Rayleigh式
2.3 Rayleigh式によるバッチ精留計算
第3章 連続蒸発とバッチとの比較
3.1 連続蒸発基礎式
3.2 連続とバッチの比較
第4章 多成分バッチ単蒸留実験データの解析
4.1 2成分気液平衡計算
4.2 多成分気液平衡計算
4.3 バッチ単蒸留実験データの解析
UO03:多重効用缶蒸発と省エネルギー(1日間)
医農薬や食品基材産業においては、分子量が数100程度である製品を水溶媒中で取り扱うことが多い。その中でも容積効率を上げるために水を蒸発させる操作(「製品濃縮」と呼ばれる)は水の蒸発熱が大きいことからエネルギー消費量が多く、省エネルギーが課題になる。また多くの化学プロセスにおいても蒸発工程の省エネルギーは重要検討事項となっている。本コースでは蒸発器の省エネルギー技術である多重効用缶と蒸気圧縮型蒸発器を取り上げ、それぞれの性能の考え方について学ぶ。
第1章 基礎事項と演習課題
第2章 沸点上昇の取り扱い
演習:沸点上昇データの解析
第3章 多重効用缶
演習:多重効用缶の解析
第4章 蒸気圧縮型蒸発器
演習:VRCの概念設計
第5章 エネルギーコストの考察
演習:エネルギーコストのモデル化
演習:多重効用缶とVRCの比較
UO04:液液抽出:作図と方程式解法(1日間)
比揮発度が小さい場合や常温で固体であるために蒸気圧が小さい場合は、蒸留による精製操作が有効でないため、目的成分が油相と水相に溶解する挙動の差を利用した抽出が石油化学、ファインケミカル、バイオケミカルなどの幅広い分野で用いられている。抽出計算の基本となる液液平衡については、活量係数モデルが十分な精度でない場合があり、また、式自体が複雑なため多段・多回操作の計算も簡単ではない。そのため、作図が便利であり従来も良く用いられて来た。しかしながら作図では多段・多回操作での作図誤差が避けられず、対応する組成のタイラインがない場合の近似誤差もある。本コースでは、液液平衡を多項式近似曲線で表すことで、方程式解法問題として抽出計算を効率的に行うことを学ぶ。
第1章 背景と技術概要
1.1 抽出装置
1.2 液液平衡と三角線図
第2章 作図による抽出計算
2.1 単抽出
2.2 多回抽出
2.3 向流多段抽出
第3章 液液平衡の活量係数モデル
第4章 抽出操作の方程式解法
第5章 まとめ
UO05: バッチ晶析とΔL則(1日間)
晶析操作は共通の取り扱いが難しい単位操作である。晶析速度の観点からはドライビングフォースとして冷却か蒸発かという選択がある。晶析の起こる環境としては溶媒を用いるか否かという選択がある。さらに種晶を用いるかどうかの選択等、晶析プロセス開発では様々な因子を決定する必要がある。これらの選択が、得られる結晶の純度、形状、粒度分布に影響する。晶析理論については、領域を限定すればいくつかの技術的進歩があるが、晶析現象を統一的に扱う理論は現時点では確立されていない。本コースでは、晶析解析に有効である、ポピュレーションバランス(粒子数収支)を中心としたモデル化について学ぶ。
第1章 背景と技術概要
第2章 ΔL則
演習:CR2-1 粒度分布の変換
演習:CR2-2 シードチャート
第3章 晶析シミュレーション
3.1 凝集がない場合
3.2 凝集がある場合
演習:CR3-1 最終粒径の多変量解析
演習:CR3-2 パラメータの概算
例題:常微分方程式のパラメータ決定
演習:CR3-3 メカニズムと操作条件のモデル化
第4章 まとめ
UO06: バッチと連続カラム吸着(1日間)
蒸留での分離が難しい微量成分を除去する操作として吸着操作は良く用いられている。食品工業では活性炭による脱色操作が広範に用いられ、一般化学分野でもVOC(volatile organic material 揮発性有機ガス)成分の除去や無機・有機不純物を除去することが行われている。気相操作では吸着剤を充填した固定層に連続的にガスを流す操作が一般的であるが、液相操作の場合は連続固定層だけでなく、バッチ吸着+ろ過の組み合わせによる精製も行われている。本コースでは、作図解法と方程式解法の点から吸着操作について学ぶ。
第1章 背景と技術概要
第2章 基本計算
2.1 吸着平衡
2.2 バッチ吸着計算
2.3 連続カラム計算
演習:AD2-1. バッチ吸着操作での到達濃度 1回操作
演習:AD2-2. バッチ吸着操作での到達濃度 分割操作
演習:AD2-3. バッチ吸着速度に関する基礎式
演習:AD2-4. カラム処理の多段モデル化
第3章 まとめ
第3分野:反応工学
RE01: 暴走反応解析(1日間)
化学プロセスの根幹は反応であるが、反応は反応器だけでなく様々な工程・装置で起こっている。反応で起こる発熱現象は危険性が高く、特にスケールアップに伴い除熱が困難となるため、その危険性は増す。近年、暴走反応についての測定評価技術が進歩したことを利用し、本コースでは実際の事故事例を用いて断熱反応挙動データの解析方法を学ぶ。
演習:バッチ反応時のジャケット温度の影響
演習:断熱反応時の温度上昇挙動
演習:連続CSTRの温度挙動
演習:断熱実験データの解析
演習:シミュレーション
RE02: 脱ガス反応解析と思考実験(1日間)
バッチ液相脱水素反応で水素の脱離が律速の場合、反応生成物(あるいは、原料・溶媒)を蒸発・還流させることで水素の脱離を促進させる操作が取られることが多い。その際、場合によっては、窒素等イナートガスをバブリングさせて脱離をさらに促進する方法をとる場合もある。共に目的は、液相内の水素濃度を低下させ、触媒からの水素脱離を促進するためであると言われている。本コースでは、この現象を解析するために現象の近似方法、思考実験による考察方法を学ぶ。
演習:定温気液平衡における液相線
演習:理想系気液平衡計算
演習:モデル系での思考実験
演習:微分方程式の近似による現象の考察
RE03: 異相系反応と律速段階(1日間)
律速段階がどこにあるかを調べることは反応を工業化する上で最も早い段階で調べることの一つである。反応速度の温度依存性が小さい場合、反応速度式の反応次数が小さい場合は物質移動律速を疑うことになるが、ラボスケールでは物質移動律速になっていることはあまりない。そのためスケールを大きくしたベンチ、パイロットで律速段階を調べることになる。本コースでは、工業的な気液系反応を2例取り上げ、律速段階の考察と連続化に伴う反応成績の変化について学ぶ。
第1章 異相系反応と律速段階
第2章 連続気液反応
2.1 背景
2.2 気液反応速度解析の基本
2.3 ガス吹き込み反応解析
第3章 バッチ水添反応事例
3.1 背景
3.2 律速段階に応じた速度式
3.3 糖の水添事例
RE04: 乳化共重合(1日間)
乳化共重合は種々のラテックス、ABS樹脂等に用いられているが、反応機構は複雑である。しかしながら系を特定すれば比較的簡単なバルク反応モデルで反応挙動を表すことが出来る場合も多い。本コースでは系に特有な近似法を用いてセミバッチや連続操作時の重合挙動モデルを検討し、理論的によく用いられる反応性比との対比を考察する。
演習:一定モル比反応モデルの検討
演習:三反応モデルの検討
演習:Mayo-Lewis式との比較
RE05: ファインケミカルの合成(1日間)
ファインケミカル合成においては原料や製品単価が高い場合が多く、少しでも品質や収率の向上が求められる。本コースでは、反応速度検討によりモデル化を行い、温度依存性、モル比、仕込み時間等を変えたシミュレーションモデルにより反応成績を改善する手法を学ぶ。併せて、シミュレーションモデルにより設計可能範囲(デザインスペース)を明らかにする。
演習:不純物生成速度の修正による精度の改善
演習:温度依存性データの解析
演習:連続仕込みでの濃度+発熱計算
演習:定温反応での仕込み時間短縮と主原料/副原料モル比削減
演習:昇温反応とモル比削減
RE06: 連続反応の安定性と制御(0.5日間)
発熱反応の定常状態解は複数あり、すべてが安定に操作できるわけではないことは良く知られている。本コースでは、不安定操作点であっても制御を行うことで安定に操作できることを学び、続いて制御ロジックを組み込んだ場合のシミュレーション方法について学ぶ。
演習:連続発熱反応器の定常計算
演習:非定常計算
演習:比例動作制御計算
演習:比例+積分動作制御(PI制御)計算
演習:変動時の制御計算
第4分野:化学工学基盤分野
伝統的な単位操作でない分離操作や教科書に詳述されていない操作の解析・設計を行うためには対象となっている現象を様々なモデルで検討することが必要になり、このような検討を行うスキルを養うためには化学工学の基盤的な分野の学習が有効である。
FM01: 動的シミュレーションの基礎(1日間)
化学プロセスに良く現れる動的な現象として、バッチ反応器内の経時変化挙動が知りたい;経時変化から現象を決定するパラメータを決定したい(釜の温度変化からの伝熱係数の推定、反応変化からの速度定数の決定など);バッチ重合プロセスであるが反応の進行に従って温度を精密に制御したい;連続プロセスであるが、外乱があった場合の各工程の挙動を知りたい、など数多くの項目がある。これらはダイナミックシミュレーション分野であり、少数の微分方程式で十分な場合もあれば、流れ方向を圧力減少方向で決定する計算を行いながら数多くの微分方程式を解く場合もある。本コースでは本格的ダイナミックシミュレーションの前段階として、化学プロセスに見られる動的問題を基本から学ぶ。
第1章 導入
第2章 気液平衡と動的問題
第3章 差圧による流れの問題
第4章 発熱反応と制御
4.1 発熱反応の安定性
4.2 断熱反応器の定常特性
4.3 反応器の動特性(制御なし)
4.4 反応器の動特性(制御あり)
FM02: プロセス検討のモデリング技術(2日間)
モデリングは化学工学の最も重要な応用分野であり、簡単な反応と蒸留を中心とした連続プロセスについては、プロセスシミュレータを利用するため、最近では自分でモデル化するスキルが失われがちである。しかし、開発しようとするプロセスに従来にない反応や単位操作が含まれている場合は、各技術者が個々の現象に対してモデリングを行いメカニズム解明やプロセス設計に役立てるスキルを育成する必要がある。本コースでは、立式演習から始めて実践的なモデリング技術を学ぶ。
第1章 立式と解法の基本
1.1 式の立て方
1.2 代数方程式と微分方程式の解法
第2章 反応操作
2.1 反応式からの微分方程式の導出
2.2 速度定数の求め方
2.3 反応操作の解析
第3章 気液平衡
3.1 Raoultの法則と理想系気液平衡
3.2 非理想系気液平衡
3.3 会合反応と気液平衡
3.4 状態方程式と高圧気液平衡
第4章 プラントデータの解析
4.1 相関と多変量解析
4.2 累積異常解析
第5章 まとめ
FM03: バッチ操作と連続操作の検討(3日間)
プロセス設計においては、バッチにするか連続にするかを最初に検討することが必要となる。また大部分の基礎的な実験はバッチで行われるために、実機が連続の場合にはデータを連続の場合に解釈し直す必要が出て来る。従来、反応の一部についてのみはバッチ対連続の比較が教科書に記述されているが、体系的な内容は教科書には取り上げられていない。本コースでは、蒸発操作と反応操作というバッチ対連続で最も注意すべき単位操作を取り上げ、モデル化を通して技術的な側面からバッチと連続操作の比較をするスキルを学ぶ。
【反応操作の演習問題】
WS 2-1 : ピストンフロー反応器の基礎式較
WS 2-2 : バッチと1段CSTRの比較
WS 2-3 : バッチとCSTRの考察(1)滞留時間分布関数の導出
WS 2-4 : n段CSTRの滞留時間分布
WS 2-5 : バッチとCSTRの考察(2)反応成績の差の原因
WS 2-6 : 逐次反応における比較
WS 2-7 : 速度比と最大収率時の選択率
WS 2-8 : バッチ、ミクロ流体、マクロ流体(2次反応の場合)
WS 2-9 : セミバッチ反応のフィード方法比較
【蒸発・蒸留操作の演習問題】
WS 3-1 : Rayleighの式の取り扱い
WS 3-2 : Rayleigh式による単蒸留計算
WS 3-3 : 3成分Rayleigh式の2成分系への変換
WS 3-4 : 多成分系バッチ単蒸留計算
WS 3-5 : バッチ精留計算
WS 3-6 : 平衡蒸留の基礎式
WS 3-7 : バッチと連続蒸発(2成分系)
WS 3-8 : 連続蒸発の改善(2成分系)
WS 3-9 : バッチと連続蒸発の比較(操作条件の影響)
WS 3-10 : 多段連続蒸発の考察
【動的問題の演習問題】
PR 4.1.1 解析解がある場合の速度定数
PR 4.1.2 解析解がない場合の速度定数
PR 4.2.1 制御なしの発熱反応挙動
PR 4.2.2 制御がある場合の発熱反応挙動
FM04: 相平衡の基礎と応用(2日間)
化学プロセスの全ての単位操作には反応と相平衡が含まれている。相平衡はプロセスシミュレータでも最も重要な基本として扱われているが、従来の教育はソフトウェアの操作方法を中心とし、各推算法の理論的基礎とその限界について暗記物的な解説がほとんどとなっている。 本コースでは、自分で相平衡モデルを組むことにより代表的な推算法の基礎理論とその限界を学び、シミュレータのブラックボックス化を解消することを目的としている。
第1章 1成分系の相平衡
1.1 状態図と臨界点
1.2 状態方程式
1.3 気相会合に見られる非理想性
第2章 2成分系の相平衡
2.1 Raoultの法則
2.2 非理想系の気液平衡式
2.3 無限希釈活量係数の分布(1)1より大きい場合
2.4 無限希釈活量係数の分布(2)1より小さい場合
2.5 気液平衡のパターン
2.6 活量係数式
2.7 共沸と相分離
2.8 気液平衡の相関
第3章 気液平衡と化学反応
3.1 Wilson式、NRTL式の元になった考え方
3.2 アセトン−クロロホルム系(液相会合)
3.3 トリエチルアミン−酢酸系(液相会合)
3.4 ギ酸−酢酸系(気相会合)
※本コースはAspenPlusコースの一部として実施することも可能。
FM05: 輸送現象論と立式(2日間)
われわれが対象としている化学装置は平衡が問題になる場合と速度が問題になる場合に大別することが出来る。平衡が問題になる典型的な装置は蒸留塔であり、蒸留塔の設計と解析の基礎となるのが熱力学(特に相平衡)である。一方、主として速度が問題になる装置として、反応器(反応速度)と大部分の化学装置を上げることが出来る。化学装置では、平衡が問題になる場合でも、流動(装置の一部に加えられた力がどのように流体の他の部分に伝わるか、すなわち運動量の輸送)、伝熱(熱交換器での伝熱速度)、物質移動速度(吸収、放散など)を考慮すべき場合が多い。様々な化学装置を個別に理解することは実際上大切であり、これは化学工学で「単位操作」と呼ばれる分野となる。一方、便覧等にない化学装置を理解する、スケールアップを考えるためには、単位操作の基礎となっている現象を十分に理解し、その原理を応用することが不可欠である。化学工学ではこれを、「輸送現象論(移動現象論、移動速度論)」と呼んでいる。輸送現象論では、運動量・熱・物質の輸送に類似性があることを基本にして、様々な現象を統一的に理解することを目標にしている。
第1章 輸送現象の基礎法則
第2章 運動量輸送: 傾斜板を流れる液体
第3章 熱輸送: フィンによる熱伝達
第4章 物質輸送: 濡壁塔によるガス吸収
4.1 濡壁塔の近似的解析解
4.2 偏微分方程式解法の基礎
4.3 濡壁塔の数値解法
第5分野:プロセスシミュレータ
蒸留の詳細検討や蒸留を含むリサイクルプロセスに関する問題のためにはプロセスシミュレータは非常に有効なツールである。本分野は、プロセスシミュレータを用いた物性・蒸留検討についてのコースとなっている。(受講者のライセンスは受講者側で準備)
AP01: シミュレータ:実践的基本演習(3日間)
Process simulatorは非常にパワフルなツールであるが、一方でBlack box的な利用に対する問題も増加している。本講習はAspen Plus利用方法の習得を主目的としたコースで、簡単なFlash計算を通してSimulatorの背後にある計算モデルや考え方を理解し、正しくSimulatorを扱うことが出来るようになることを目的としている。また、実践ベースの解析機能を利用することで、効率的な検討を行うスキルを身に付けることも出来る。
第1章:Process設計とProcess simulation
第2章:Flash計算、Aspen Plus基本設定
第3章:物性・パラメータ
第4章:混合物特性
第5章:解析機能 - Sensitivity / Design Spec
第6章:蒸留塔モデル
AP02: シミュレータ:物性パラメータの影響と相平衡計算(2日間)
物性推算法の基礎理論をAspen Plusで検証し、各種計算結果に関する考察を行う。このコースを通して各種パラメータの重要性、及びシミュレータ内部での計算過程の理解が深まり、実測データの回帰方法、物性解析、純物質・混合物パラメータの推算手法に関するスキルを身に付けることが出来る。
第1章:物性Parameter
第2章:Data Regression
第3章:Property Estimation - 純物質物性推算
第4章:活量係数推算 - UNIFAC Group寄与法
第5章:状態方程式モデルとPSRKモデル
AP03: シミュレータ:蒸留基礎&応用蒸留(4日間)
実際の蒸留塔は多成分、多段、リサイクル計算が複雑に絡み合うため、非理想性の高い系では極めて収束計算が難しく、相平衡の知見を深めるだけでは応用が難しい単位操作である。本コースでは、M.T.作図法などの基本的な計算を実践し、相平衡との結びつきを十分理解した上で、応用的な問題へ展開する。応用問題を通して、蒸留境界の概念が理解出来、共沸蒸留塔の分離手順検討、共沸蒸留システムのモデル化、収束計算に必要なスキルを身に付けることが出来る。
第1章:蒸留塔
第2章:シミュレータ蒸留塔モデル
第3章:多成分系蒸留塔 Workshop
第4章:Convergence Method
第5章:2成分、多成分系共沸の表現
第6章:均一系共沸蒸留計算
第7章:不均一系共沸蒸留計算
第8章:抽出蒸留計算