対面型トレーニング 上級教育コース
プロセス構築講座の総仕上げとしてのコースです。一つの化学品のラボ実験段階からベンチ実験を経てプロセスを構築に至るまでを疑似体験できるコースです。
プロセスの構築は、その時点で利用できるデータに基づいて頭の中でフローシートを組み立て、そのイメージを計算で定量化するところから始まります。次にこの作業で明らかになった不安点を実験的に確認することで固有技術を作り上げます。その作業の中で、小スケールと大スケールで何が異なるかという感受性を働かせて、スケールアップの検討を行います。最後に代替案の比較検討、プロセスの収率-品質特性を検討し設計の前提を明らかにしたところでプロセス構築は完了となります。
このコースでは、ある化成品のラボ実験での反応確立が終わり精製法の検討が始まる頃を念頭において、ラボデータの検討とベンチ実験のポイント立案、ベンチデータの解析と最適プロセスの考察を行います。
実施方法は以下の2方法が可能です。
プロセス構築演習 A方式
対象:中堅エンジニア
標準日数:4〜5ヶ月
内容:
最初にラボデータと前半課題を説明し、その後2ヶ月程度かけて受講者が調査・検討を行い、考えられるプロセス案と必要なベンチ実験案をまとめます。次に模範解答とベンチ実験データをもとに後半課題として最適と考えられるプロセスを2ヶ月程度かけて検討します。最後にそれを発表し、模範解答と比較議論をします。この方法の場合は、直属の上司の方も議論に参加いただくことをお勧めします。
A方式 前半課題
与えられた実験データ、各自で調査した参考文献類に基づいてプロセスのあるべき姿を出来る限り定量的に考察せよ。
1.適切と思われる詳細度で反応速度解析を行え。
2.反応生成物の蒸留分離の可能性を検討せよ。
3.蒸留に代わる精製法を検討し、その原理を説明せよ。
4.プロセスをブロックフローで表わし、プロセス構築上の課題とその解決方法を具体的に論じよ。
A方式 後半課題
1.反応
・回収原料を用いた反応時の混入不純物の挙動
・バッチと連続CSTRの比較
2.軽沸カット・脱タール
・軽沸カット操作の終点をどう決めるか?
・軽沸カットと脱タール工程の比較
3.精製工程
・晶析・ろ過のスケールアップとろ過での洗浄性
・製品ウエットケーキの製品化方法
・溶媒/未反応原料分離蒸留の操作条件の検討
・代替精製法 抽出法の可能性について
4.全体
4.1 プロセス概要
・反応工程以外での熱劣化を考慮した設備の考え方
・バッチプロセスと連続CSTRプロセス全体の比較
・最適な反応率
・不純物バランス:反応での生成量、排水としての除去、回収蒸留からのリサイクル
4.2 結論
・推奨プロセス、選定理由と残された実験課題
・製造比例費、(製造固定費)
・将来構想(1500トン対応方法、高純度製品製造方法)
プロセス構築演習 B方式
対象:若手エンジニア
標準日数:3日間
内容:
ラボデータの解析から実プロセス案の確立までをステップに応じて演習形式で学びます。
第1章:事前検討
1.1 プロセスの概要
1.2 反応成績と原料原単位の理解
1.3 分離精製工程の検討
1.4 全体バランスと最適条件
1.5 まとめ: ベンチ実験のポイント
WS1-1 反応バランスの確認
WS1-2 反応と精製のバランス
WS1-3 分離精製方法の検討1:蒸留
WS1-4 分離精製方法の検討2:分離バランス
WS1-5 分離精製方法の検討3:晶析
WS1-6 物質収支の読み方
WS1-7 最適反応率の考察
第2章:実証
2.1 反応工程
2.2 脱アンモニア・脱水工程
2.3 晶析・ろ過工程
2.4 まとめ
WS2-1 反応圧力の考察
WS2-2 実験データのバランスチェック
WS2-3 脱圧終了時の温度の検討
WS2-4 ろ過のスケールアップ
第3章:プロセス特性の把握
設計の前提を明らかにする
WS3-1 反応方式の比較
WS3-2 連続とバッチのプロセス全体の比較